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  1. けいおんと百合についての考察

    アニメ『けいおん!!』の奇妙さは、男性がいっさい出てこないところである(現在2話まで視聴段階)。第1期もそのはずで(厳密に調べる努力を惜しんでいるが)、少なくとも印象では皆無。唯一、楽器店の店員は出てくるが、これは典型的な部外者扱いといってよい。(追記:『けいおん!』ではさわ子先生が若かりし頃、憧れた男性にふられる話が出てくるが、これがきっかけで百合へと向かったとも解釈できる)

    (以下、アニメ『けいおん!』、『けいおん!!』をまとめて『けいおん』と表記する。)

    『けいおん』はどうみても百合作品であるが、それをいっさい謳っていない。ほとんどの百合作品には男性は出てくるもので、百合の指標といえる『マリア様がみてる』も然りであり、それもかなり印象的に出てくる。ちなみに『マリみて』も、自作を百合であることを謳っていない。『マリみて』以降の代表的百合作品『青い花』でもまったく同じで、むしろ男性が効果的に出てくるとさえいえる。

    『けいおん』とほぼ同等の男性非登場作品には、『ストロベリー・パニック』がある。大きな違いは、こちらは百合であることを大きく謳っていること。企画段階から百合を描くことを狙ったものであり、男性の登場は荷物を配達しに来た人が1シーンのみのはず。

    『けいおん』に男性が登場しないことについては、原作が4コママンガであることが原因かもしれない。4コママンガは、そのボリュームの制約から登場人物が少ない傾向にあり、たとえば『落花流水』にも、男性は出てこない。この2作品は大変似たところが多い。

    百合というとはずせない『シムーン』はもちろん百合作品といえるが、そうでないともいえる特殊な作品である。百合という範疇に括れない大きな世界観がある。ここでは男性は、女性(少女)の対称として、重要な存在感をもって描かれている。

    百合を描く上で男性を登場させるのは、現実との違和感をなさを出すのに必要であり、そうすれば一般的に自然な世界観になる。登場させないと虚構感が強まる。『けいおん』は、ゆるやかな日常の系列につながる作品でもあり、このジャンルでは『苺ましまろ』『みなみけ』あたりが代表している。前者は百合色が強く、男性は少数だが自然に出てくる。後者はまったく百合ではないため男性は当然出てくる。世界観が現実世界である場合、男性は出てくるものだが、不思議と『けいおん』には出てこない。この点が、いかに『けいおん!!』が奇妙な作品であるか表している。