"あと、作中に1カ所、澁澤龍彦にまつわるエピソードが紹介されているので抜き書きしておく。著者がモナコに関する記事を執筆中、モナコ公国の面積を調べる必要が出てきたのだが、平凡出版の社内には事典の類がまったく置かれていない。困り切って担当デスクに相談したという場面。
「それでは、鎌倉の澁澤龍彦さんに電話で訊いてください。あの人は一晩中起きているから」
そういえば二人とも東大仏文出だから旧知の仲だろう。でも夜中にこんなことで電話する当人は気が重い。
だがしかし、澁澤龍彦という人は想像を超える善人だった。
「ラルース(フランスの事典)があるから、見てきましょう」
いやなそぶりもせずに調べてくれたのである。「平凡パンチ1964」赤木 洋一 平凡社新書 2004 より
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